Untitled

幸田文は、父露伴を看取り、別れた夫を看取ったあと、文章を書いて身を立てるようになった。

 いまは貧乏は消えたかにみえる世の中です。でも本当に消え去ったといえるでしょうか。そうは私は思いません。いまここにない、というだけのことで実はどこかに引籠っていると思うのです。

 このごろ私はよく「また気がたるんでいるな」と思うことがあります。平安だと、とかく心がだらんとします。嫌です。休息や寛ぎとはちがって、無気力になるのです。平安で、しかもきりっと締まっていたいと思いますが、なかなかそうはいきません。緊張して暮らしていた過ぎた日々のことを思うと、あの頃には貧乏がいて緊張をうながしてくれていた、と思い出します。でもあれにまた出て来てもらいたいなど、そんなことは、ふるふるご免です。ただ、ほのかにないものねだりの「今ここにはない」淋しさを感じます。…

 私はないものねだりを嫌いじゃありません。貧乏は義理にも好きとは申しませんが、貧乏のうながしてくれる緊張はなつかしく、今ここにある平安のだれよりずっといいと思います。

鶏的思考的日常 ver.29

百年前

(via ginzuna)
  1. white4tax3 reblogged this from ginzuna
  2. spke reblogged this from shayol
  3. superneet reblogged this from shayol
  4. shayol reblogged this from orekane
  5. orekane reblogged this from ginzuna
  6. polygonplanet reblogged this from ginzuna
  7. ginzuna posted this